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Vol.10 - 2
2003/02/17発行

植田真一郎  新任教授の御挨拶 

     琉球大学医学部臨床薬理学講座 教  授   植 田 真 一 郎

 平成13年12月1日付けで横浜市立大学医学部内科学第二講座からこの度琉球大学医学部に新設されました臨床薬理学講座の教授を拝命いたしました。
 私は昭和60年に横浜市立大学医学部をやっとのことで酷い成績で卒業し、何とか医師国家試験に合格しました。在学中は勉強以外のことばかりやっていたのですが、さすがに研修医になって勉強しなければならないと思いその時国立医療センター(現在国際医療センター)研究部臨床薬理研究室長であられた石崎高志先生の「臨床薬理学レクチャー」という本を読み、ジゴキシンや様々な抗不整脈薬などの薬剤の投与設計を科学的に行うことができるということに感動しました。「これだ!」と思い早速手紙を書いて弟子入りのような形で勉強に行くようになりました。同僚は色々な検査手技の習得に熱心でしたが、私は内科の本質は薬の科学的な使い方にあると勝手に思い込んでいました。もちろん今となってもこれは間違いではないと思いますが正しい診断が前提であることは言うまでもありません。
 本格的な臨床薬理学的研究は英国に留学してトレーニングを受けました。薬物動態学を中心にした古典的な研究ではなく、薬力学的なエンドポイントと遺伝子変異、ヒト薬理学としての血管内皮機能、様々な臨床試験への参加など有意義な5年間でした。
 臨床薬理学研究の大きな目的の一つは前臨床試験としての基礎医学で得られた成果を臨床医学に持ち込むいわゆるトランスレ?ショナルリサーチにあると思います。例えば循環器の領域では、ある薬剤が心血管イベントを減少させることを証明するには大規模な臨床試験を実現しなければなりませんが、このような試験はその前段階の臨床薬理学的研究や前臨床研究の結果の積み重ねがあって初めて実現します。沖縄県に於ける心血管イベント減少のために是非このような研究システムを立ち上げたいと思います。
 臨床薬理学はまた研修医時代の私が感じたように内科の治療学という面もあります。高頻度に使用され、薬理作用の個人差が大きく、有害反応がしばしば致死的である薬剤についての投与設計コンサルテーション、妊婦、授乳中の患者さんにおける薬物投与コンサルテーション、ICUにおける多剤併用時の臨床薬理サービス、移植後の薬剤投与設計への助言などは実現すれば患者さんにとって大きなメリットになります。日本では自治医大以外はこのようなシステムはまだなく、是非琉球大学病院において実現したいところです。
 今後同窓会会員の方々の御指導、御鞭撻、御協力をお願いいたします。